歯ぎしり・食いしばり BRUXISM

歯ぎしり・食いしばりについて

来院される患者さんの口腔内を観察すると、約6~7割の方が歯ぎしりの傾向があります。
ところが、指摘されてもほとんどの患者さんは身に覚えがないのです。
「自分でも意識したことがないし、回りの人にも言われたことがない」ほとんどの方がこう言います。
一般的に歯ぎしりというと、寝ている間に「ギリギリ」「ガリガリ」音をたててする物だと思われているようですが必ずしも音が出るものとは限りません。

ブラキシズム

専門的にはブラキシズムと言っていますが、これには顎を左右に大きく動かすいわゆる「歯ぎしり型」と、ほとんど動かさず定位置で噛みこむ「くいしばり型」の二つのタイプに分けられます。
通常ブラキシズムのある人のほとんどがこの音の出にくい「くいしばり型」のタイプか混合型です。
この「くいしばり型」の場合、しばしば起きている時でも無意識にしてしまう人もいます。

ブラキシズムチェック項目

  • 犬歯(糸切り歯)の先端の形状

軽くかみ合わせて下顎を左右に大きく動かしてください。
上下の犬歯が先端同士で接触するところまで移動させて、接触している部分が平らな面になっているようだとブラキシズムの可能性があります。

  • 朝起きて鏡の前で舌チェック

舌の回りに歯形がついて周辺が凸凹しているようだとブラキシズムの可能性大です。

  • 左右のほっぺたの内側

大きく口を開いたときに左右のほっぺたの内側に横スジが見えていたらブラキシズムの可能性大です。

その他、歯の表面(特に前歯)に縦に亀裂が見える人。眠りが浅い人。頭痛、肩こりの激しい人や、虫歯でもなさそうなのに急に歯がしみるようになった人も要注意です。

歯ぎしりが体に及ぼす影響

大きく分けて口腔内に関するものと、全身に関するものに分類してみます。

口腔内に関するもの

  • 歯そのものに対するダメージ

    咬耗による象牙質の露出

    このことにより、虫歯になりやすくなったり、知覚過敏を引き起こしたりします。

    歯の破折

    余儀なく抜歯となることもあります。

  • 歯の回りの組織に対するダメージ

    過大な加圧による歯周組織の破壊

    このことにより歯周病の症状を助長することになります。一般的にブラキシズムのある人の方が歯周病の進行が早いです。

    TMDを誘発

全身に関するもの

睡眠障害、頭痛、肩こり、etc

ブラキシズム発現のメカニズム

ブラキシズムの主な原因としてストレスが上げられますが、睡眠時、覚醒時にかかわらずブラキシズムは発現します。かみ合わせに関係した筋肉が緊張状態にある時に発現するようです。
そもそも安静時には上下の歯は接触していないのが正常です。ところが、何かに集中しているときや、意識が「咬む」というところにないとき、すなわち無意識の状態にあるときに、くいしばっていることが多いようです。
この無意識レベルのくいしばりが非常に為害性が強いのです。

人体の防御反応

意識してくいしばったとき、ある程度までは咬むことが出来ますが、それ以上になると反射的に筋肉が弛緩するといわれています。これは一種の人体の防御反応で「これ以上咬み込んだら歯やその回りの組織が危険だ」という信号が脳から送られるためだとされています。
ところが無意識レベルではこの信号が送られて来ません。それで非常に強い暴力的な力が持続的に発現してしまうのです。

歯の接触時間

本来歯が接触するときは食事のときが主で、その時間は3食を食べても約7~8分と言われています。ところがそれ以外のときには数十分間持続的に接触している場合もあるのです。
それから習慣的にスポーツをしている人の場合も(その種類にもよりますが)、やはり長時間接触する傾向が強いようです。

ブラキシズムの予防

覚醒時のブラキシズムの予防

まず、ブラキシズムの為害性を十分に認識することから始まります。そして普段から意識して注意してみてください。結構くいしばっていることに気づくでしょう。
そこで歯が接触している状態に気が付いたら、上下の歯を離し、顔や肩の筋肉をリラックスさせてください。そしてこれを何度も繰り返すことによって、徐々に意識しなくてもリラックスできるようになってきます。(一種の条件反射的なもの)

睡眠時のブラキシズムの予防

睡眠時のブラキシズムの発現にはある決まりがあります。
それは熟睡時には発現しないということです。すなわち睡眠の導入時と覚醒時に発現しているのです。この時間帯が長い人ほど危険性が高いということです。俗にいう眠りの浅い人です。
実際ブラキシズムの強い患者さんに聞いてみると、熟睡できない人が多いのです。
薬物を投与する場合もありますが、一般的にはマウスピース(ナイトガード)を睡眠時に装着してブラキシズムによって引き起こされる症状を緩和させるという手段がとられています。

マウスピースと聞くとボクシングの選手が使っているものを想像してしまうと思いますが、歯科用のマウスピースは全く違います。当クリニックで作製しているものは通常上顎の歯の部分だけを覆うタイプで、装着感にすぐれ比較的違和感の少ないものになっています。
通常は睡眠時に装着しますが、日常的にスポーツをなさるかたはスポーツ時に装着してもいいかと思います。特に接触プレーの多い競技の場合、歯の保護だけでなく接触時の脳への衝撃を緩和するともいわれています。
また装着時の方が非装着時に比べ、1割程度筋力がアップするとの報告もありますよ(ゴルフでの飛距離が延びる!?)。

マウスピース(ナイトガード)はブラキシズムがある場合は保険の適用となります。
また完成までに最低でも2回の通院が必要になります。

装置は消耗品です。すり減ったときには新しく作製しなければなりません。

最後に、ブラキシズムはストレスが直接の原因になることもありますが、他に原因がある場合でもこのストレスによってかなり増強されます。この場合はストレスをうまくコントロールすることが大切です。それには何がストレスの原因になっているかを認識する事が重要になってきます。そしてその原因を可能な限り回避することです。

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